737MAXの事故を考える。

737は、1967年初飛行のロングセラー機種で、近年まで改良を続けて52年も世界の空で活躍している。基本構造ではなく、例えば翼の先のウイングレットと呼ばれる折り返しのような先っちょをつけたり、内装を含む軽量化、自動操縦などの操縦機器の高度化、エンジンを改良して燃費の向上、などを主にマイナーチェンジを繰り返して来ている。特にエンジンは設計当時よりパワフルになってきており、エンジンの取付角度や位置を工夫して、離陸時の最大の燃費悪化時期を改善し、早く離陸出来るような改良を行っている。また、新規設計するよりも、償却済みの設計をベースに改良しているので魅力的な販売価格設定にもなっている。

航空会社は、空席率を下げて、近距離で高回転な路線が一番安定的に利益が出るので、737はここまで長生きできたけど、流石に基本設計の限界に近い状況であった。にも関わらず、宿敵エアバスが最新鋭の小型中距離機を投入して初年度で本拠地アメリカにおいて200機以上の受注を取ったことから、対抗馬で出てきたのが737MAXです。

当然ながら米中貿易摩擦の緩和にもなるので、世界の中で一番中国が発注、納機されている機体だ。

今回の事故はいずれも離陸後数分から十数分の間に起こった事故であるが、問題はなぜ同じ事故が起こるかと言うことだ。

すなわち、今回の改良点がエンジンの強力化によって機首が上昇し過ぎると失速するので、失速防止の自動操縦により、その問題を改善させたものであるが、AIの命であるセンサーの反応とプログラムロジックに何らかの異常(バグ)が発生し、失速状況であるとAIが誤解してより機首を引き上げようとして、それを懸命にパイロットが戻したにも関わらず墜落している見方が有力だ。

自動運転で一番怖いのは、機械の運転を人間がアシストすることであって、人間の運転を機械がアシストすることではない。なぜならば、後者は自動運転を解除することによって最悪の事態を免れるが、前者は機械の暴走を止めるすべを知らなかった場合にはどうしようもない事態へと展開されてしまうからだ。
不幸にもパイロットにはボーイング社から多くの情報が当初与えれていなかったので、世界各国のパイロット組合は猛烈にボーイングに抗議し、運輸管理局へ飛行停止も呼びかけた。
世の中では一番自動操縦の歴史が長く、それに慣れているパイロットでさえ、マニュアルと訓練がなければ複雑になった自動操縦に対抗する方法をとっさの緊急事態では取ることが出来ないのだ。

考えてほしい。いわんや、車の世界であれば運転手のレベルが相当バラついており、なおの事悲惨な事態となる懸念は大きい。現在の自動運転がレベル1-2であることから主に人間がハンドルを持つことを中心に自動運転機能が設定されているけど、自動運転の進化と共に早晩逆のケースまで発展させることになるからだ。

改めて今回の事故の犠牲者には心よりご冥福をお祈りいたします。

しかしながら、現実社会で自動運転が進む場合の大きな論点となり得る事案の事故であった点は、あまりニュースで論じられていないことも、実は大きな懸案事項である。